図書館の本は返さなくてはならず、手元に残らない。
何もしないとすぐに記憶の底から抜け落ちてしまうので、また本の
紹介です。
『文豪の怪談 ジュニア•セレクション -獣-』(編 東雅夫/画 中川学)
前者は児童文学『クレヨン王国』シリーズの中の一冊。
「水色」が色でなく、一個体として表される光景の描写があります。
もう一方は、純文学、とよばれる作品を、読みやすい大きな字とわかりやすい
注釈、そして一線をゆくイラストレーターの画とともに編まれる短編集シリーズ
のうち、- 獣」にまつわる作品が掲載されているバージョン- です。
どちらも「あとがき」がとても素晴らしく、空想が現実の世界に及ぼす影響力、
言葉の魔力を再認識しました。
読んでいる間、虚と現実の境目に居られます。
ドイツの詩人ハイネは、食べ物にも困っていた頃、得たわずかなコインを、
パンと本どちらに費やすか迷った挙げ句、詩集を買ったらしい。
そういう状況やと、じぶんはたぶんパンを買うけど、
書物は、嗜好品、という範疇には収まりきらないぐらいの存在です。