髪にドライヤーを当ててもらっている最中、美容師さんが喋りました。
話を拡げようにも、顔まわりで、ごおーと風が鳴っているためじぶんの声は
届かないでしょう。
鏡に向かって笑いかけ、興味ぶかく聴いております、と、表現することくらいしか
できません。
何かに似ている、と思いました。
小学生の頃、それぞれチャリンコに跨がり縦並びで歩道を走っていた時。
前をゆく友だちの声が、向かい風にかき消されてまったく聞こえないのです。
えー?、と、何度も首を傾げるのはもどかしく、
相手は躍起になって声量を上げ、二台のあいだにイライラが募る。
どちらからともなくやめてひたすらペダルを漕ぎますが、どの道大した話ではなかったため、
目的地に着いても蒸し返されません。
意思疎通を諦める、というイケない行為を覚えはじめたこの頃。