うみつづき、陸つづき -押海裕美ブログ-

思いついたことが、消えないように絵や文にしました。

2010-04-01から1ヶ月間の記事一覧

うつらうつら

人のいれてくれたコーヒーは、うまい。 自分ですると、入れた、という感じだが人の作ったのは、淹れた、という気がする。 夕方、部屋で絵を描いていると、とすとす、と父が階段を上ってきた。 そして一言。「コーヒーいれてくれる?」 ほいほい、と言うとま…

スケッチ

~前回までのあらすじ~ 小説家志望のプレイボーイ西園寺と、彼に思いを寄せる三人が同居する家で、過去類を見なかった怪奇事件が勃発する・・・・!!! くそう!どうして語尾に「である」ばかり使ってしまうんだ!! 小学生の作文だってもうすこしましだぞ…

花束

どうでもいい他愛のない極みのお話なのに、どうしてこうも文章が長くなるのだろう。 すっきりとコメディタッチにまとめるつもりだった短編がまた四百枚を超える大作になった原稿を横目に、小説家志望の西園寺は、数えきれぬほど幾度も悩み抜いてきた同じ悩み…

チョコレート工場

異変を感じ、三日間ほどつけっぱなしにしていたピアスをはずしてみました。 するとあら、たいへん、開いてこのかた膿むことも病めることもなく、穴あけの際も拍子抜けしちゃうくらいにするっと空いてしまったトラブル知らずの耳たぶが、白いかさぶた状になっ…

愛しのフランケンシュタイン

それは言い過ぎだ、と否定されることもありますが、一年のうちで、春という季節は一週間しかないとおもいます。 ここでいう春とは、きのうの昼間のようなコンディションのこと。 風がなまぬるくもなく冷たくもなく、太陽は照りすぎることなく、洋服の繊維が…

春の土

~前回のあらすじ~ 足の人差し指の爪をうっかり伸ばし過ぎたことから、それを武器にして仕事をこなすスゴ腕の殺し屋になった僕をまちうけるものとは・・・・!? いつしか、「アイアイ」と呼ばれるようになった。 可愛い顔をしながら隠し持った鋭い爪で獲物…

アナコンダ

なんか最近やたら靴下のいたみが早いな。 指がすっぽり顔を出すくらいに景気よく破れてしまった靴下をゴミ箱に捨てながら、ふと疑問を感じたその朝、もう僕の人差し指の爪はおそろしく成長してしまっていたのである。 二度見どころか、そればかりでは信じら…

それは決してふれられないものと似ている

朝目を覚まして、枕の感触がいつもと違うのに気づいた僕は横になったまましばらく、さてどうしたものかと考えた。 枕がすり変わっているのは明らかだけど、バイト12練勤の翌朝だったのである。あとたっぷり5時間は睡眠を貪っていたい。 しかし、頭の下の…