うみつづき、陸つづき -押海裕美ブログ-

思いついたことが、消えないように絵や文にしました。

2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

星降る夜の約束

私が人魚をさがす旅に出たのは、そういったいきさつからであった。 しかし、一体どこを探せばよいのか。そもそも実在するかも定かではないものなのだから、雲をつかむとはこのことだろう。絶対ないよな、と思いつつ念のため魚屋をめぐったものの、珍しいジュ…

氷イチゴ

自分の天職が「おめかけさん」なのではないかと思い始めたのは、十歳になってまもなくのことだった。職というか、生き方というべきか。 将来の夢をきかれたとき「およめさん」と回答する人の気持ちがつゆほども理解できなかったのは予兆であった。 どんなに…

珈琲中毒

昔々そのまた昔、某国の政治家・王眠々は、毎日次々に降りかかってくる仕事をどうにかして完璧にこなしたい、しかし麻雀はやめられない、とさんざん首を捻ったあげく、眠らないことを思いついた。 今まで睡眠に費やしていた時間を他に当てれば、なんと有意義…

カスク

琥珀色、と表現するのだろうか。透明な金色の水が、グラスの中で美しく揺らいでいる。 光に透かして見とれていると、それはみるみるうちにあふれ出して、世界中の全てのものに姿を変えた。 ~ウイスキー奇談~ ♪茶色の小瓶を二人でゆすりゃ 紅茶に牛乳なんで…

少女

いよいよ、待ちに待った日曜日がやってきた。 クラスのみんなとボウリングに行くのだ。男3、女3で、その中には最近気になっている木村くんもいる。中学生にもなれば男女で遊びに行くだなんて普通のことだとは思うけれど、部活で忙しいのを理由に誘いにも応…

ハネムーン

初めて彼女ができたとき、僕は昔、本当に小さい頃に、昆虫採集に熱中していた頃を思い出した。朝から暗くなるまでごはんを食べるのも忘れて熱中していた程なのに、鈍いせいか捕獲に成功したことは一切なく、そんなに虫が好きなら、と祖母が夏休みにデパート…