うみつづき、陸つづき -押海裕美ブログ-

思いついたことが、消えないように絵や文にしました。

2010-01-01から1ヶ月間の記事一覧

スノーモンスター

~前回までのあらすじ~ 変人発明家のパワフルおじいちゃんが発明したのは、なんと、読む人の思いによって中身の変わる小説。長年の研究を経てできあがったその本を目の前に、僕は興奮を隠そうとしなかった。 なにしろ、一冊の本でありながら、展開は見る人…

赤ずきん

~前回までのあらすじ~ 変人発明家の祖父が作ったのは一冊の本だった。 はたしてその本の正体やいかに!? 最愛のひとに逃げられてからか、もっとずっと以前からか、彼は書物を読み漁った。 ロシア文学にフランス恋愛もの、中原中也に宮沢賢治、ポーの怪奇…

本の虫

「すっごいよじいちゃん、よくこんなもの作ったね!」 僕は目を丸くして驚いて見せた。 「そうだろそうだろ、この研究にわしの青春の半分をささげたといても過言ではないからな。」 手の中の発明品をいとおしげに撫でながら、恥ずかしげもなく青春という単語…

ウエディングパーティ

~前回までのあらすじ~ おめかけさんのエキスパートになるべく不老不死を目指す少女が、紆余曲折を経てあいのりに参加することに。男性陣は、こたつを体に装着しているたかしくん(19)をはじめ新聞紙でできたスーツを着こなすヨッシー(26)など、そうそう…

The birds

伊勢に行った時の事。 のんびり遊覧船で楽しんでいると、たくさんのカモメが船のすぐ近くを飛び交っておりました。 なんだなんだ、とデッキに出ると、なるほど乗客が餌づけをしています。 餌といっても、売店で売っている黄色い、スコーンという名のスナック…

Birthday Card

(小説つづき) ~前回までのあらすじ~ 将来おめかけさんのエキスパートになることを誓った少女はがいつまでもぴちぴちでいるために、不老不死の効力があるという人魚の肉を探すべく旅に出る。 以外に早く出会えたものの、不老不死であることの悲しみを説く人…

人により程度は異なりますが

昼寝をした後悲しくなるのは、一体どうしてなのでしょう。 こたつで眠ってしまっておきると、部屋の照明とこたつの電源が切られていて悲しかったのは寒かったからで、ロシア語の時間に耐えきれなくなって突っ伏して寝ていると先生に起こされて悲しかったのは…

屋根裏の散歩者

そう、あれはまだ幼い時分。 暗闇に住む異形の者を信じ、家のあらゆる処、たとへば押入れの中や箪笥の隙間などに、どこか怪しい世界への入り口をいとも容易く見つけてしまひそうになる危うい時期のことでござひました。 その小さな足が踏み出す先に世にも恐…