2012-11-01から1ヶ月間の記事一覧
ある朝目覚めると、布団と自分が一体化していた。 10年くらい前に買った安物のやつだ。どうせなら羽毛布団がよかった。 もちろん動けないししゃべれない。 ひとりぐらしなので誰にもきづかれない。 手をのばせば届く距離に携帯電話が転がっているのだが、…
ちょっと用事で自転車にのろうとした日曜の午後。 小春日和でぽかぽか暖かく、坂道で立ち小こぎしやすいようにと軽装で出ると、 リップクリームの装着をわすれていたことに気がつきました。 まあ、乾くのは乾くけどそんなに強風でもないし大丈夫だろう、とい…
海坊主の家で購読している読売新聞に、ときどき「空想書店」というコラムが載っていて、その日のコラムニストが自分の理想の書店を語ったり、本の魅力を独自の目線で語るといった内容です。 今週の日曜は歌手のjujuさんの文章が載っておりました。 空想書店…
前回のあらすじ 初めて入るバーで、先客の前に飲み物が置かれていないのを見て戸惑う主人公X。 そんな彼に、感じの良い初老のマスターがこう問いかけた。 「お客さま、今日は何を読まれますか?」 ・・・マスター、「読む」と「飲む」をいいまちがえています…
布張りのような不思議な手触りの扉を押すと、一人だけ先客が居た。 お酒を飲むところにしては明るすぎる。 けれども暗い赤と焦げ茶に統一された店内はすっきりとして、中に立つマスターは口ひげがよく似合う渋い中年の男で、全体的に好ましかった。 一番奥に…