うみつづき、陸つづき -押海裕美ブログ-

思いついたことが、消えないように絵や文にしました。

孤独に寄りそう

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 ちょっと用事で自転車にのろうとした日曜の午後。
 
 小春日和でぽかぽか暖かく、坂道で立ち小こぎしやすいようにと軽装で出ると、
 リップクリームの装着をわすれていたことに気がつきました。
 
 まあ、乾くのは乾くけどそんなに強風でもないし大丈夫だろう、という私の判断は間違いであったとすぐに気づかされるとは知らず・・・。
 
 おしゃれさんはみんなが通う有名セレクトショップで、贈り物用の帽子をえらんでいたのですが、棚がすこし高いのです。
 一番上の段となると、見えないので手にとるのだけれども背伸びが必要となります。
 
 そんなあせりも手伝って、唇はがっさがさ。
 牛乳の膜が貼り付いているような感触に、神経がその一点に集中し、なかなか決まりません。
 
 ひとつ気になるのがあったのですが、サイズがL表示のものしかなく、店員さんに質問せざるを得なくなります。上唇と下唇がくっついて開かなかったり、せりふの途中でひび割れて出血したり、の無様な様子をおそれながら
 
 すみません、と思い切って声をかけます。心配していた事態はおこらなかった。
 けれどもにこにこ応対してくれる彼の顔の裏に「この人なんでこんなに唇ガッサガさなんやろ。きもちわる」
 という感情が隠れているようにさえ見える。
 
 人は自分が思っているほど自分のことなど見ていないのです。
 それは重々承知、ああしかしどうにもならないのはすべて、リップクリームを持ってこなかったせいだ。
 
 
 しまいには店内に居ることさえ、こんお洒落なお店が建っている地域に身を置くことさえ拒絶されている
 気分になってくる。そそくさと向かい風の中をかえったのでした。


 みなさん油断は禁物です。
 
 あと一点、休日にひとりで動物園に行くのはやめましょう。
 美術館に寄ったついでだし、らくだのスケッチもしたいし~♪
 なんて鼻歌まじりで行くと、地球上の全生物の中でいちばん孤独な生き物であるという錯覚におそわれます。
 
 静かでお客さんも少ない夜行動物の館内が唯一落ち着ける場所です。