好きこそものの上手なれ、とはよく言ったもので、 晩酌おとうさん は、ちくわぶになるのが上手だ。 宮沢賢治氏の「おきなぐさ」という短編で、 多様な呼び方をされるこの花を 「どうしても、うずのしゅげ、の方が適していると思う。」 との言及がありました…

布張りのような不思議な手触りの扉を押すと、一人だけ先客が居た。 お酒を飲むところにしては明るすぎる。 けれども暗い赤と焦げ茶に統一された店内はすっきりとして、中に立つマスターは口ひげがよく似合う渋い中年の男で、全体的に好ましかった。 一番奥に…

～前回までのあらすじ～ 「僕」がいきつけのバーで知り合ったのは、一度たりともまばたきをしない女。 彼女は語る。 学生時代に砂漠へ行った時の事。満天の星空の下、流れ星をただただ待ちながら、襲ってくる睡魔と闘いながら。いつしか強く願っていたのだ…