愛しのフランケンシュタイン
それは言い過ぎだ、と否定されることもありますが、一年のうちで、春という季節は一週間しかないとおもいます。
ここでいう春とは、きのうの昼間のようなコンディションのこと。
風がなまぬるくもなく冷たくもなく、太陽は照りすぎることなく、洋服の繊維がそれを吸ってぽかぽかする程度の光。
あたたかいのだけれども、上着を羽織ってちょうどよいかな、というくらい。
自転車をまたぐとパーカーやジャケットがひらひらして、風をまとっている気分です。
それまで寒い冬だったのも、あと少ししたら暑い夏がやってくるのもまるで信じられず、
何かわからないけど良い、それは決して美味しそうとかではない種の、よい匂いがします。
四月特有の
「新しいことはじまってしまった!」や「いいかげん何か始めなきゃ!」といったようなそわそわする緊張感や、変態がこの季節増えるってのもわかる気がするぜ、などといった感想を抱かせるようなわけのわからない不安な空気は影をひそめていて、
そのかわり、真剣に考えていたことがどうでもよくなったり、
どうでもよかったことが重要に思えてきたりします。
見上げればうす紫の花がしなやかに垂れ下がり、足元には犬の顔にもよく似た鮮やかなパンジー。
公園で遊ぶ子の中には半そでの姿もあったりして、あー元気じゃのう、若いのう。
と、うらやましく懐かしく笑います。
こんな365分の1の日を、大切にせねばなあ、と思ってにこにこしていたら、
電車に乗り間違えたりするから要注意。