うみつづき、陸つづき -押海裕美ブログ-

思いついたことが、消えないように絵や文にしました。

星と翼

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お風呂場に古典単語本が置いてあった。テストまでにこれだけ覚えときましょ、というやつだ。家に来た誰かが置いていったのだろう。風呂場でじぶんも借り物じゃない冊子などは読むが、集中できるものののぼせて長くは続かない。もしやその時間限定度が暗記に適しているのかもしれない。しかしその見ためたるや、カバーの外されて上等でない紙は、表紙から中身に至り裏表紙までふやふやにふやけて、昆布そのものであった。よほど長い海女の経験値を積んだ女の人に披露しても、ののの!!!こんなに立派な昆布らしいものは見たことがない、というほどの昆布であった。浴槽にたっぷり湯気を立てる湯船はダシを吸ってさぞかし‥、と、具を求めたが生憎石鹸やシャンプーしかなく、おでん屋を開くのは諦めた。