うみつづき、陸つづき -押海裕美ブログ-

思いついたことが、消えないように絵や文にしました。

魔女

 

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依頼

 

 

 駅までの道のりに建つ商店の軒先に、毎日のように椅子を出して座って通りを

 見つめている女性がいます。

 ほぼ真っ白な髪でかなり年輩のようですが、ゆったりしたワンピースを着て

 ニコニコしている姿は優しげで、いろんな人が立ち止まり、おしゃべりに興じて

 います。

 近所の奥さんもいれば学生風の子、外回りの最中らしきスーツの男性も。

 

 人気者な彼女は一体何者なのでしょうか。

 

 家の扉は引き戸式で開け放されており、中から植木鉢に入った植物や家具などが

 多彩に覗いており、売り物なのかインテリアなのかは不明。

 夕方など時々ほっそりした黒猫が足下でくつろいでいます。

 するりと屋内に入っていくところも見かけましたが、ある日通りがかりの女性が

 「あら、あんたどこ行ってたの!?久しぶりじゃないの!」

 と話しかけていたので、ちゃんと飼っているわけではなさそう。

 

 毛はまじりっけなく黒く平面に見える程で、

 前を過ぎてすこし歩いてから振り返ると何やら猫の部分だけ空間が違うようでした。