りんごの蜜が香り高いタルト・タタン、染み染みなシロップが口の中を幸せで浸すサヴァランは、つくり手の「うっかり」によって生み出された洋菓子だそうな。
失敗はときに思いがけぬ発見をもたらします。画像は短編「離さない」(「神様」中公文庫 所収 )のイメージですが、思えば作者である川上弘美 氏を知ったのは、川上未映子 氏の本を読んでみたい、と書店に行き、苗字ちがいで買ってしまったのがきっかけ。居住区と別の所にあるセブンイレブンで購入したゆき場のない粗大ごみ券は、きっといつか何かの役に立つでしょう。お正月に実家からDSとドラクエを持って帰ってきたら案の定ハマってしまって後悔するも、コマンドの文体(ひらりとみをかわした!とか)と瀬田貞二 氏の訳との関連性を発見した気がしてほくそ笑むと、外でごうごう風が吹いています。
○参考 「歴史をつくった洋菓子たち-キリスト教、シェイクスピアからサヴァランまで-」(長尾健二 著/築地書館)、「かぎのない箱」(岩波書店)「DRAGON QUEST IX 」(スクウェア・エニックス)