水族館に行きたい。淡いピンクの外壁でできた建物はなだらかなドーム状をしていて小さい。人も来ないような海辺にポツンと立っていて、無人駅から橋をわたってすぐのところに位置している。中へ入ると老人がつまらなそうにチケットを切ってくれる。不似合いなくらい巨大なジンベイザメが泳ぐ中央の水槽を取り囲むように、タカアシガニとクラゲとイソギンチャクなどが飼育されていて、大義そうに顔を出すウツボから時々鋭い牙がのぞき、イカとクリオネが半透明の体を神秘的な色に光らせる。出口に程近くに居るダイオウグソクムシの前で足を止めると、メカを思わせる彼らが何か語りかけて来そうな気がして立ち去ることができない。
角田光代さんの「人生ベストテン」、江戸川乱歩さんの「蜘蛛男」、沼津の深海水族館と、ポーランドで目にした水族館の記憶がないまぜになっています。実際は寝不足で行って歩きながら寝たり、混雑し過ぎて魚じゃなく人を観に来た状態になってしまったりと、理想のようにはいきません。