うみつづき、陸つづき -押海裕美ブログ-

思いついたことが、消えないように絵や文にしました。

味噌汁の中

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おいしくなあーれ、と唱えることはほんとうに重要な調理のプロセスであり、それが例えじぶんだけが食べるものであってもです。冷え対策とビタミンなんやらを「摂らねばねーばねばねばね」などと違った呪文を囁き、炊く手順を省くために米も大根や葱とともに鍋に火をかけたからもうたいへん。万能味噌を溶かしてできたものはおそろしく美味しくなく、そのおそろしさゆえ、新聞小説の『イン ザ・ミソスープ』(村上龍/幻冬社文庫)(掲載は読売新聞 1997年)を思い出したほどでした。村上龍氏の著作で猟奇殺人の描写があったようでしたが、その当時中学生だった姉が、ほんとうに気持ちが悪いから読まない方が良い、と言い放ったためビビって目の端にもいれぬようにしていたのでした。そして未だに書店で見かけても避けてしまうのです。手が。たぶん実際に読むよりも読まない方がおそろしいのです。しかし味噌汁は、入れた筈のまっとうな具材への想像を反して現に創り上がったものの方がまずかったのでした。料理とは小説よりも奇なり。