どこに惹かれるのかというと、窮地にたたされた時でも余裕をかましているところです。
ふとした時に見せる真剣な表情も良いですが、
ものすごい高いところから落ちている時にすらとぼけた顔をしているルパンはもっと良い。
主人公なんだから死ぬわけがない、なんて夢のない確信を持っているのではなく、
身の危険と隣り合わせでいることを、いつも自覚しているからなのだと思います。
だから格好良いのでしょう。
最近見た、
次元が、襲い来る追っ手たちにダイナマイトを投げつけるシーン。
火のついたその束で、自分のくわえ煙草に火をつけてから敵の方に放ちます。
命がけの状況におけるこの冷静な手順。さらに、煙草に火をつける、という動作の習慣化と熟練が為せる技であることをうかがわせます。
ルパン三世シリーズを見ると、
さまざまなピンチ(例えば、深い谷底にかかった極細の吊り橋の上で、大ぜいの軍隊に銃を向けられつつ、無二の親友と、どちらかが死ぬまで一騎打ちせねばならない時)
から逃げ出す方法のストックができます。
●監督 出崎統