うみつづき、陸つづき -押海裕美ブログ-

思いついたことが、消えないように絵や文にしました。

古くなった本からパンの匂いがする

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高校卒業後は絵描きを目指すことに決めた僕の枕元に、ある夜神さまが立った。
 
 「おまえは絵描きの才能は無い。
 
  進路・・・人生を考え直すチャンスをいまいちどだけあたえてしんぜよう。」
 
 白い長いひげをはやして、妙にどもどもした喋り方の神さまはぼくの父親にそっくりだった。
 
 あまりにもそっくりなのでまじまじと見つめると、
 顔を伏せたのちごほんごほん、と咳払いを三回した。
 
 「はやく決めねば世があけてしまうぞよ。朝になるとわしは会社・・・ではなく、
  天にかえらねばならぬのだ。」
 
 さっきとすこし声が変わっていた。
 
 僕はしばらく考えたのち、高校のスポーツテストの、
 「片足閉眼立ち」の結果を思い出した。
 これは、片足で両目をつぶった状態をいかに長く保てるかで、平衡感覚を測るテストだ。 
 
 短ければ10秒足らずで失敗してしまう人もいる中、僕は三年間とも、
 最高長時間の三分を記録したのである。 
 
 
 「じゃあ僕は、曲芸師になろうと思います。」
 
 神さまはずるっと、それこそバランスをくずした。両足で立っていたはずなのに。
 
 「そうではなくてもっとその、公務員とかサラリーマンとか、なんか安定したのがいいのではないのか!?」
 
 神のくせにお細かいことをいうなあ、とまだ開き切っていないまなこで見つめていた矢先、おんどりが鳴く声がしたので、
 
 親父・・・でなかった、神さまはあわててふすまを開けて去った。 
 
 まだ間があるので僕は二度寝することにした。
 起きるとよくおぼえていなかったので夢かとおもい、やはり絵描きの目標を曲げないことにした。

 
 


 




 
 ということで、個展をいたします。
 
 詳細は以下のとおりです。
 
 ●期間 12月18日(日)~12月22日(木)
 
 
 ●時間 13時~19時
 ●場所 大阪市西成区花園南二丁目七の三
     南海本線大阪市営地下鉄堺筋線天下茶屋」下車すぐ。
 
     地下鉄改札を出て、カナートモールイズミヤを左手に見ながら直進。
     
     不動産屋(二階はマッサージ)の角を右に曲がり、美容院、自転車屋さん、立ち呑みなどの見え     る並びにある赤レンガの建物。
 
 
 むかし住んでいた家をそのままつかっての展示なので、かなりアットホームな仕上がりとなっておりますが、お近くに来られることありましたらぜひお立ち寄りください。