フランスが舞台の本を立てつづけに読んだがために心の中が、
にわかかぶれです。
一冊は
『女ひとりの巴里ぐらし』(石井好子/河出書房)
ダンスホールでシャンソンを歌う著者の毎日と、彼女を取り巻く踊り子や
芸人たち、書かれた1950年代の夜な夜なが、生々しくありながら詩的に
描かれていて、三島由紀夫氏も前書きで絶賛。
楽屋で女たちが準備にてんやわんやしている場面では、
鼻にかかる高い声と衣ずれの音が聞こえてくるよう。
外国文学、そして岩波文庫。
もともと難解な上、それを日本語に訳すために
理解しづらいし、字が小さくてびっしり詰まっている。
上記のような拙い偏見を、見事に取り払ってくれました。
現実の植物も女も、獣もぜんぶあたらしく、可愛く見えてしまいそうに
綺麗でお洒落な文章でした。