うみつづき、陸つづき -押海裕美ブログ-

思いついたことが、消えないように絵や文にしました。

こはだか

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岡本かの子 さんの「鮨」という短編がとても好きだ。志賀直哉 さんが書いた「小僧の神様」といい、お鮨には、美しい物語を生む要素が備わっているようだ。小学校へ上がったばかりの頃、「おどり」を注文して親と大将に驚かれ、回転寿司屋では2貫入り20皿をたいらげた小さい私を見て板前さんが、どこに入っているんだ、と、洩らした。いよいよこの時、と、どきどきしながら単身乗り込んだ、向島のお店。奥さんは先ず、いちげんの女が1人なのに目を見張り、席に着くや冷酒を頼むと更にびっくりした。わたしの書く「鮨」はびっくりばっかりでどうやら風情が無い。