グループ展のおしらせ
幼少のころを過ぎてからは、体調不良を訴えると、自己管理が足りないからや、と叱られてそだった。
実際、母は風邪などひかず、まれに前兆がみられるときは市販の薬をのんで即ふとんに入り、翌朝はすっきりした顔で仕事をしていた。
旅行中に食べた貝があたったのか、五人家族中の三人が胃腸炎にかかったときも無事であった。
そんな母の咳が三日くらいとまらない。
週末などは18時ごろからご飯も食べず横になってしまった。
どんなに疲れていても、やきそばやキムチチゲなどの割合しっかりしたものを食べ、
食べないと元気がでない、と、ダイエット中の娘にまで大量にこしらえてしまう彼女が。
ほんとに大丈夫なのか、ちかくのお医者には見てもらったものの、ちゃんと検査を受けた方がよいのでは、といろいろ考えていると、四時間後くらいに起き出してきた。
ハッキリ(薬の商品名)はやっぱりすごい!と、
頭痛がなおったことを豪語しながら天ぷらうどんを作り始める。
途端に不安が吹き飛び、仲良しの叔母と電話でおしゃべりする姿を横目に、
ビールの缶を開けて、その日まだであった晩酌を始めた。
弱いくせに、たくさん失敗もしているくせに好きなので、
酒を飲むわたしを母は心配する。ちらりとこちらに不満げに投げかけられる視線を目のはしでとらえつつも、春はついついビールがすすむ。
食べて安心させる母と、飲んで心配させる娘の居る一室を入れたマンション外の公園に立つ桜の樹から、まだきれいなままの姿で花びらがどんどん散りふけっている。
(終)
本編とはまったく関係ありませんが、グループ展に出展いたします。
中崎町のイロリムラ、というギャラリーで、たまに参加しているクロッキー会による作品展です。
お近くにこられた際はお立ちよりくださいね。
http://www.k3.dion.ne.jp/~irori-05/