卵を割るときは固いボールの角などでなく平らな机の面で、
や、米は研ぎすぎると風味が損なわれてよくない、
とか言いたいわけではないのです。
ただひとつ、雑につくるとまずくなります。
おいしくなあれ、と唱えながら作ると美味しいといった説は迷信や気のもちようだけでなく、
そんな風に作られたものには心がこめられていて、分量のはかり方や段取りも丁寧なので味も良いものができるのです。おのずと。
春にいかに新たまねぎを使ったところで、邪魔臭がって分厚く切られたオニオンスライスはすこし辛みがきになるでしょうし、
ちゃんと火をとめてから入れなければ麻婆豆腐の片栗粉はだまになってしまいます。
空気抜きの手間や、つなぎを入れる手間を省き、しかも用意しすぎたからとひき肉にたいして明らかにおおい分量の、みじん切りされたにんじんを入れたら、
案の定うまくまとまらず、焼いている途中でほどけてしまった末に煮込みに手法をかえられたハンバーグなんて、味がいまいちなのはもちろんのこと、深めの皿の中では見た目すらも所在なげです。
なのでみなさん、おいしくするのを目的とした意外での分量の変更と、段取り不十分のままの見切り発車はしないこと。
それでも面倒だという人は、料理はなるたけしないこと。
さもなくばキャンプ場でも作れちゃうあのカレーライスすらも満足に作れないで、周りの人に失望と絶望を与えかねません。
