~前回までのあらすじ~
酔っぱらって記憶をなくしている間に、酔拳マスター・ひょっとこ仮面
となって悪と戦っている運命を受け入れてしまった「僕」。
今宵はあなたの街に、愛と正義のために飲み過ぎちゃった彼が現れるかもしれない・・・。
初めのうちは困り果てていたものの、
一度は誰だって想像したことあるでしょう。
戦隊ものスーツに身をつつんでかっこよく悪者を倒す自分の姿を。
おまけに飲めば飲むほど強くなるだなんて、まるで夢のようなお話ではないですか。
訓練を重ねるうち、記憶をなくさずにひょっとこ仮面として活躍することもできるようになってきた。
悪者もさまざまな姿かたちをしており、一度はドラゴンボールに出てくるセルみたいなのも居てものすごく恐怖心を煽られたし、
あきらかにバッドマンのペンギンを模した者もいた。
これ、人間ではないんじゃあないか・・・と、本気で心配になるようなザリガニ型の悪者もいた。
全国ひったくりナンバーワンだった街はどんどん平和になってゆき、自転車泥棒も迷惑駐車も減ってきた。
僕自体はでしゃばるつもりがないのでこっそり戦ってはいるものの、
ひょっとこ仮面の雄姿はあちらこちらで目撃されているらしく、世間の関心も集まってきて、
ひょっとこまんじゅう。ひょっとこストラップ。
なる副産物も売れ出していた。
もちろん正体は秘密だ。ヒーローの絶対的条件よね。
昼間は黒ぶち眼鏡男子の会社員です。
ひょっとこ仮面の強さの秘訣は、酔拳の他にもう一つ。ふむ!と力を入れて念じると、体が液状化してしまうのだ。正確には、酒になれるのである。
一度酔いに酔ったときに、お酒が好きだ、むしろ酒になりてえ~
なんて口走ったことはあるが、まさかこんな形で実現するだなんて。
ターミネーター2の悪役ターミネーターを想像してもらえばわかりやすいだろう。
酒になれるから弾丸もボウガンもへっちゃらだし、鍵のかかった密室に入り込んで美女の寝顔をのぞき見・・・なんてことも可能だ。(もちろん僕はやってません)(つづく)