猫がお膳の上に乗ったら、絶対に注意してしつけしなさい!
と言っていた母も今ではすっかりこうです。
「猫が乗ったりするから、テーブルの上にはグラスとか何も置いたらあかんで。」
専用の爪とぎが五か所に設置されているにもかかわらず、
リビングの引き戸のゴム部分はべろんべろん、
白い壁紙はあちこちはがれてぼろぼろんに。
猫の威力とはおそろしいもので、
かわいがり過ぎて終始猫なで声で話しかける私たち家族を前に、すっかり猫もかぶらなくなってしまった彼の寝床は、現在家の中に六か所ほどあります。
冬は寒いので母の布団の上か、リビングのソファで眠るのですが、夏は物干し台のそばや玄関先でべたーっとなっていたり、いろいろなのです。
そのせいで、あちこちに居残った猫の眠気が伝染し、私もうっかり廊下や台所で眠ってしまうようになりました。
いかんいかん、とベランダへ出ると、横たわっていびきをかく父の姿が。
報告しようと探した母はなんと、洗濯機の中でまるまっていました。どうやら家事の途中で眠ってしまったようす。
あーあ、とあきれ返って洗濯物のつづきをしたはずが、
気がつけば屋上の西陽を浴びながらうとうとしていました。
昨夜も八時間きっちり寝たのに・・・。
十進法が採用されたように、
家にはどんどん猫時間が浸透してきている。