ひさしぶりにクリームソーダを食べました。
喫茶店でコーヒー以外のもの飲むなんて久しぶりすぎて、
なんか恥ずかしくて、「クリームソーダ」とすぐさま言えません。
昼過ぎに行ったので、ランチメニューを渡されてしまい、
「あの、フロート系とかってあります?」とおずおず質問。
ありますよ~と、カフェメニューが出て参ります。
やっとのことで注文し、
出て来たそれは、二十年以上を経てもまったく変わりない外観。
机に、麻雀ゲームが備え付けてあるような、古風な場所を選んだのもよかった
のでしょう。
サクランボこそ上に乗っかっていないものの、
見るからに甘そうな白いアイスクリームが
氷と交わって不思議な鋭角を形づくり始め、
着色料を溶かした真緑の液体に溶けることを拒否しつつも、
待ち望んでおります。
一口目のしゃりしゃり感を早くも味わいたいのですが、
銀色の長いスプーンで崩してしまうと、
アイスがさらに形を変えてしまう。
隣のお客さんの目とかも気にしつつ、
さりげなくスケッチを開始します。
白をまとった水晶型の氷や、下にいくにつれて濃くなる緑いろ。
ゴールデンの絵の具にたとえるとエンパイアグリーンかな、とか、
いやこの透明感はアクリルではあらわせない、
とか色々考えているうちに、
溶けるアイスのことが気になって仕方ありません。
思わずストローで、ごくんと一口。
炭酸も、ソーダ水の酸味も、
アイスに魅惑されてやる気を無くして、「甘くて何がわるいの?」
と、語りかけてくるかのよう。
突き崩すと、アイスは以外に硬く、
気の強い彼女が時折みせる可愛らしさのごとく、
やっと力を抜いたクリームが、口の中で広がります。
これこれ~これだよ!
小さい頃に食べたそのままの味で、
それでもじぶんのお金で買えちゃうようになったクリームソーダは、
しょっちゅう飲むと魅力をうしなってしまうのでしょう。
ただ、久々すぎて食べる順番を間違え、
完全に一体化する前にソーダを飲み干してしまいました。
あー、なんだかもったいない、
とストローでしつこく吸うと、
ズズズー、と、恨めしげな音がして
きっとここに誰かもっと大人の人がいたら、
「はしたないからやめなさい」
なんて怒られるのだろう、と、ちょっとだけ大人を気取って諦めた
のでした。
おわり