うみつづき、陸つづき -押海裕美ブログ-

思いついたことが、消えないように絵や文にしました。

冬はつとめて

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 みかんを食べると手が黄色くなる、というので、ぐっと気温がさがったのをいいことに毎日食べていたのが心配になり、じっと手を見てみましたところ、
 
 たいへん。これでは可愛い紅葉のような手、どころか銀杏いろではないですか、


 
 と、あわてていましがためくろうとしていたのを置き、口さびしいのでそのへんを物色していたところ、かわいい四角な箱を発見。渋いグリーンの地に、ラクダが悠々と横顔を見せています。
 中にあった細長い白い棒状のものを取り出して、なんとなく口にくわえて火をつけてみたところ、
 
 インクのような、あたらしい車内のような、それでいて南国の果物をも思わせる匂いが胸の中に入ってきて、けほけほとむせてしまいました。
 なんだろうこれは。もうひとすいしてみると、なんだか頭がくらくら、として、
 風景がたてになったり横になったり。
 次からは、もうその香りがえもいわれぬものに思えてきて、
 立ち上る紫いろの煙の魅力にとりまかれ、
 
 その箱は手放せないものとなったのです。

 
 しかし、なんだか最近喉の調子がおかしいな、
 と、ふと箱に書いてある文字を読みなおせば、
 
 吸い過ぎが健康に害をおよぼす、と、もろにかいてあったのに気づいたときの私のおどろきようといったら。
 
 世界は丸いと思うから、おれちょっとこの先まで船で行ってくるよ、
 っていうコロンブスの計画を初めて聞いた人もここまでではなかったでしょう。


 
 あー、どうしよう。しかし吸わずにおると、次第にイライラとしてくるのです。 
 
 仕方がないので、これならだれも文句はいえまいと、選んだのは、
 しょうがでした。
 
 新陳代謝も良くなり、体はあたたまって、これからの季節にもってこい。
 生姜ダイエット、なるものも巷では人気らしいし、
 包装していた小袋を用心深くながめまわしても、
 どこにも体にわるいなどの、注意がきがございません。


 こりゃあしめたぜ、と、
 三食しょうが、昼もしょうが弁当、と続けていたところ、
 一周間もたたぬうちにめまい・たちくらみが頻繁に置き、
 医者に貧血と診断されました。 
 
 もうどうしたらよいかわからず、半ばやけ気味で三食きっちり食べるようにしたところ、
 喉の調子は良くなり、すこぶる元気な生活が送れて、日々のうつくしい風景などに対する感受性まで豊かになったようでした。
 
 
 めでたし。


 
 
 
 
 ある実験で、人に三食マクドナルドの食事をさせたところ、やはりてきめんに不調があらわれるらしい、
 という話をしたら、
 「そりゃあ毎日いっしょのもの食ったらなんでも体にわるいやろ。」
 
 と至極冷静なご指摘を受けて目から鱗だったことを思い出して思いついた話。