二日目。
道に迷いに迷って、つたない英語で道行くひとに尋ねながら、フランス語で説明されて理解したふりをしたりしながら、
辿りついた先は、ルーブル美術館。
予想をはるかに超えた長蛇の列に、最初から度肝を抜かれます。
それはもう蛇に例えるなら、突然変異したインドニシキヘビがアナコンダと結婚して、
その子どもが親の長い部分だけを受け継いで生まれてきた。
ものが、雷に打たれたショックでなんらかの反応が起こってさらに巨大化。
+超人気ラーメン店の行列一週間分。
ぐらいの長さの列なのです。
照りつける日差しに辟易しながら待っていると、なんと西洋人の中年女性二人組が割りこんできます。
そのさらに前に並んでいた若い美少女ふたり組が、見かねて注意してくれます。
少女「パルドン、マダム。(以下、想像による訳。)最後尾はもっと後ろ。ちゃんとならばないといけませんよ。」
女性「あら?まあ、いやだわ私たちったら。割り込むつもりなんてちっともなかったのよ。それより、あなたたち可愛いわねえ。まるで若い頃の私たちみたい。さぞかしモテるでしょう。」
少女「いえいえそんなこと・・・それより、後ろに人が・・・」
女性「思いだすわねえ。私たちだって若いころは、ルーブル美術館のヴィーナスにも、それこそモナリザにだって負けないくらい美しくって魅力的だったのよ。まあ、あなたたいほどじゃないけど。」
少女「うふふ。今だって十分わかくてお綺麗ですよ。」
女性「もっちろん、若い子にはまだまだ負けないわよ☆(ウインク)」
全員「うふふふふ・・・・(笑い合う)」
女性「そうだわ、美術館に入る前に、四人のヴィーナスたちの出会いを記念して、記念撮影しましょう。ちょっとすみません?(と、更に前に並んでいた東洋人の女の子に、写真を撮るよう依頼。)」
このような感じで、みるみる女の子たちに打ち解けてしまった割り込みさんお二人。
会話は全て想像ですが、四人で記念撮影にまで至っていたことは事実。
すぐ前に入られたにもかかわらす、注意する勇気の無さを恨む気よりも何よりも、
二人の巧みな話術に脱帽でした。
画像は、サモトラのニケ、と呼ばれる石像のスケッチ。
からっとしているせいで汗をかかないのに、
スケッチの最中だけやたらと汗だくになりました。(つづく)