OH BABY 通り雨があがるまでカプチーノでも頼んで待とうか この醜くも美しい世界で
海坊主の大好きなミュジシャンの曲に、そんな歌詞があります。
ランチしたら席を立とうと思ってたけど、突然の雨。
だから仕方がない、やむまで何か飲んでここに居よう、カプチーノがいい。
雨がなかったら口にすることのなかった、そのいい感じのカフェのカプチーノを飲みながら、
もしずっと一日晴れだったら話さなかったかもしれないことを、相手と話している。
それはまさしく雨のもたらした時間。
頭の中に描いていた時計の文字盤の上に、降って湧いた空間。
雨がふらなければとらなかった行動や、行かなかった場所、
その先にある出来事や出会いは、
とるにたりないものだろうか。それとも驚くようなドラマだろうか。
あまり好きな天候ではなくて、魚くさく濡れたアスファルトをずるずると引きずるようにして歩いていましたけど、近頃そのようなことを思うのです。
『岳物語』や『白い手』などで有名な椎名誠さんの短編に、『雨がやんだら』というタイトルのものがあります。
これは上に述べたような雨のロマンチックな効果を描いたストーリーではちっともなくて、
どちらかというと春先や秋口の雨のようにしんしんと底冷えさせる雰囲気なのですけれど、
なかなか好きです。
同じ著者の『インドでわしも考えた』というインド旅行記は、作風うってかわってすごく笑えます。
ロールプレイングやったこともないやりつくした人も♪楽しめるマリオRPG(スーパーファミコン)みたいに、
印度を訪れた経験のない人もエキスパートにとっても、読み応えある書物だとおすすめいたします。