うみつづき、陸つづき -押海裕美ブログ-

思いついたことが、消えないように絵や文にしました。

2010-01-01から1年間の記事一覧

恋のイスタンブール

旅行冊子にインスパイアーされて異国の風景を描いた僕は さらにそれに刺激を受けてむらむらと異国へ旅立ちたくなってしまった。 貯金もほとんどなかったのだけど、古本からゲームソフトから祖父秘蔵のウイスキーまで売れるものは全部売り払い、モトカノに貸…

家のふしぎ

最近手に入れたデッサン人形が、 「って、いやいや!!!」 のポーズをしていたのでつい嬉しくなって撮影してしまいました。 いったいぜんたい誰になにを突っ込んでいたのか。 「ハウスでおこる不可解なこと」つながりで、こんなことを思い出します。 それ…

ねこおとファイナル

手に入るものと手に入らないものではあまりに後者のほうが多く、 心のどこかが壊れるまでに堪え忍ぶ思いをしたところで、報いは驚くほどに小さい。 掴み取ったきらきら光る部品は貴重ではあるが、失った部分とは型が合わないから、もう元には戻らない。 大好…

ブルー

ビールを飲むと、世界がもうすぐ終わるような気がする。 時間が変になって、起きている全ての物事が美しい曲のクライマックスのように、いつか途絶える気配を孕んで流れる。 きっとこんな時間帯の空の上で、こんな風な雲の色の中にいると、明確にそんな風に…

花占い

12人の怒れる男、だ。内容はちがったが。 下げてきた前菜の皿が載ったワゴンを押しながら、ホール長は昔の映画の邦題を思い出していた。 とある高級中華料理店に、巨大な回るテーブルを囲むその団体は、黒服ではなかったが、まるでいましがた葬儀に参列し…

ハッピーアワー

~ひょっとこ仮面の特徴~ 体は全身紺色タイツ。足は裸足。(最近では足袋を着用) ひょっとこのマスク。(お面ではない、被れるタイプ) 飲めば飲むほど強くなる。 場合に応じて体がお酒になる。 ある月の光のない濃い闇の夜、 ゴミ置き場で猫をいじめる悪者を…

ねこおと3

~前回までのあらすじ~ 酔っぱらって記憶をなくしている間に、酔拳マスター・ひょっとこ仮面 となって悪と戦っている運命を受け入れてしまった「僕」。 今宵はあなたの街に、愛と正義のために飲み過ぎちゃった彼が現れるかもしれない・・・。 初めのうちは…

ねこおと2

やはりまた、青あざができている。 小さい頃は青あざといわずに青たん、と呼んでいたっけ。 でも周囲の人に通じないことがたびたびあったのでごく一般的な青あざ、という呼称をつかっている。 そういえば「ぐっどぱ」をするときも昔は、 ぐッパーっぐッパー…

ねこおと

探偵局のみなさん、こんばんは、いつも楽しく拝見しております。 窓を開けて風を入れていると、ときどき遠吠えをが聞こえてきます。 おそらく近所の飼い犬なのですが、その遠吠えがすごいのです。 高くものがなしく、 無邪気に散歩しているときの姿からは想…

第十三夜

こんな夢を見た。 朝起きて鏡を見てびっくり。 髪の毛がたいそう伸びている。 生きてきた中で明らかに一番と断言できるほど、長く黒く、たっぷりと肩にかかっている。 ここまで伸ばすのにはさぞかし苦労したろう。 絶壁が悩みの私はひとつくくりも二つくくり…

落書き(青)

なんとなく最近ひかれてしまう幾何学模様のブラウスを、その春の日も着ていたら、 ふと、ブラウスから糸が出ていることに気がついた。 ついいましがたまで、縦横に規則ただしくあわさっていたのに、独立して、衣服であることをやめてしまった糸はふてくされ…

うつらうつら

人のいれてくれたコーヒーは、うまい。 自分ですると、入れた、という感じだが人の作ったのは、淹れた、という気がする。 夕方、部屋で絵を描いていると、とすとす、と父が階段を上ってきた。 そして一言。「コーヒーいれてくれる?」 ほいほい、と言うとま…

スケッチ

~前回までのあらすじ~ 小説家志望のプレイボーイ西園寺と、彼に思いを寄せる三人が同居する家で、過去類を見なかった怪奇事件が勃発する・・・・!!! くそう!どうして語尾に「である」ばかり使ってしまうんだ!! 小学生の作文だってもうすこしましだぞ…

花束

どうでもいい他愛のない極みのお話なのに、どうしてこうも文章が長くなるのだろう。 すっきりとコメディタッチにまとめるつもりだった短編がまた四百枚を超える大作になった原稿を横目に、小説家志望の西園寺は、数えきれぬほど幾度も悩み抜いてきた同じ悩み…

チョコレート工場

異変を感じ、三日間ほどつけっぱなしにしていたピアスをはずしてみました。 するとあら、たいへん、開いてこのかた膿むことも病めることもなく、穴あけの際も拍子抜けしちゃうくらいにするっと空いてしまったトラブル知らずの耳たぶが、白いかさぶた状になっ…

愛しのフランケンシュタイン

それは言い過ぎだ、と否定されることもありますが、一年のうちで、春という季節は一週間しかないとおもいます。 ここでいう春とは、きのうの昼間のようなコンディションのこと。 風がなまぬるくもなく冷たくもなく、太陽は照りすぎることなく、洋服の繊維が…

春の土

~前回のあらすじ~ 足の人差し指の爪をうっかり伸ばし過ぎたことから、それを武器にして仕事をこなすスゴ腕の殺し屋になった僕をまちうけるものとは・・・・!? いつしか、「アイアイ」と呼ばれるようになった。 可愛い顔をしながら隠し持った鋭い爪で獲物…

アナコンダ

なんか最近やたら靴下のいたみが早いな。 指がすっぽり顔を出すくらいに景気よく破れてしまった靴下をゴミ箱に捨てながら、ふと疑問を感じたその朝、もう僕の人差し指の爪はおそろしく成長してしまっていたのである。 二度見どころか、そればかりでは信じら…

それは決してふれられないものと似ている

朝目を覚まして、枕の感触がいつもと違うのに気づいた僕は横になったまましばらく、さてどうしたものかと考えた。 枕がすり変わっているのは明らかだけど、バイト12練勤の翌朝だったのである。あとたっぷり5時間は睡眠を貪っていたい。 しかし、頭の下の…

一杯いかが

道端で出会う猫はなぜあんなにじっと見てくるのでしょう。 たたたっと通り過ぎた後にわざわざ振り返っては、凝視してくるので、何か用かいと視線を返します。 何秒間か見つめあったと、心が通じ合った気がして、触れようと一歩踏み出した途端。いやむしろ踏…

レッドアイ

~前回までのあらすじ~ 「僕」がいきつけのバーで知り合ったのは、一度たりともまばたきをしない女。 彼女は語る。 学生時代に砂漠へ行った時の事。満天の星空の下、流れ星をただただ待ちながら、襲ってくる睡魔と闘いながら。いつしか強く願っていたのだ…

デザートローズ

今は昔、竹取の奥菜というものありけり。 いつものように竹林で遊んでいると、根元のぼんやりと光るものが一本あった。 なんだろう、これは。 奇怪に思って切ってみる。するとなんと中は空っぽで、よく見たら傍に、とてもかわいらしい少女が座り込んでいた…

食べきれなくなったりんご飴

~前回までのあらすじ~ 行きつけのバーに入った僕の前に現れたのは、「まばたきをしない女」。 なぜそうなったのか。女の話が始まり、ウイスキーとビールと雨模様によって琥珀色に覆われた店内は不思議空間へと変貌を遂げる・・・・! ※ ※ ※ あれはまだ、…

ミニはかせ、ハイパー面を造る

街中を灰色に染めるうように、昼過ぎから雨が降っている。 週末でもなかったのだが飲みたい気分になり、会社がえりの路地裏にあるショットバーに入った。 時間が早いこともあってか、カウンターの一番端に、髪の長い女性が座っているだけである。 「久しぶり…

ナイン

野球漫画じゃあるまいが、朝五時半に起きて腹筋背筋50×5、外周十周、なわとび300回、を毎日続けてい うちに、ある朝目覚めると腹筋がたいへんなことになっていた。 九つに割れていたのだ。 プロテインを取り入れたのがいけなかったのか、それとも成長…

架空の映画のポスター

最近映画をよく見ています。 見ない時期は全く見ないのですが、やたら眠い一週間、とか、なぜか人によく道をきかれる一日、とかがあるように、映画をたくさん見る時期、にさしかかっているようすです。 あれめっちゃおもしろいねんで!!! ほんっまにおもん…

ファンタジー

OH BABY 通り雨があがるまでカプチーノでも頼んで待とうか この醜くも美しい世界で 海坊主の大好きなミュジシャンの曲に、そんな歌詞があります。 ランチしたら席を立とうと思ってたけど、突然の雨。 だから仕方がない、やむまで何か飲んでここに居よう、カ…

第十二夜

こんな夢を見た。 いやに照明の明るいどこかの洋食屋にいる。 四方の壁は地中海の空を思わせる抜けるような青で、テーブルやカーテンもすべて、目がちかちかするような赤や黄の配色だ。 「こんなに室内に居てまぶしいと思ったことは初めてだ。」 そのような…

ルパン三世/ダークシティの戦い

きのう(12日の金曜)やっていた「ルパン三世~the last job~」を見逃してしまった・・・悲しすぎる。 たまにはテレビの番組表もチェックしないといけないなあ。 ルパンって、あんなにかっこよくて射撃も盗みもうまくって、身長も高いらしいのです。 写真の画…

WHISKY BONBON

むかしむかしあるところに、ヨーヒョという貧しい若者がおりました。 気のいい頑張り屋さんでしたが、働けど働けど、暮らしは楽になりません。 ある雪の降る朝、路地裏のカフェの夜勤を終えて薄い外套の肩を抱きながら家路を歩いておりますと、一話の鶴がお…